openSUSE で動かないので、では、本家本元の Red Hat Enterprise Linux ではどうなのか、を調べてみました。RHEL では IPaddr2 からのメッセージは ocf_log という関数を使っているようで、add_interface() 関数内にある ocf_log に少し細工をして、実行コマンドと引数が表示されるようにしてみました。すると、

4月 04 21:38:17 rh9-a IPaddr2(ClusterIP)[467709]: INFO: Adding inet address 192.168.3.179/24 with broadcast address 192.168.3.255 to device ens18 ip -f inet addr add 192.168.3.179/24 brd 192.168.3.255 dev ens18
4月 04 21:38:17 rh9-a avahi-daemon[749]: Registering new address record for 192.168.3.179 on ens18.IPv4.
4月 04 21:38:17 rh9-a IPaddr2(ClusterIP)[467715]: INFO: Bringing device ens18 up ip link set ens18 up

と表示されていたんですね。つまり、RHEL では ip コマンドを使って IP アドレスを設定していると。
おそらく、どこかの引数で、ip コマンドを指定していると思うのですが、そこが分かれば RHEL と同じように openSUSE でも設定すれば、うまくいきそうです。

2025/4/5 追記
で、IPaddr2 にあっちこっち logger 入れて調べてみたら、

Apr 05 20:59:41 clvm-a root[7827]: ip_served cur_nic=,IP_CIP=yes,OCF_RESKEY_ip=192.168.3.169
Apr 05 20:59:41 clvm-a root[7828]: ip_saved return no
Apr 05 20:59:41 clvm-a root[7829]: ip_start: IP_CIP=yes,IP_STATUS=no
Apr 05 20:59:41 clvm-a root[7830]: IP_CIP=yes,ip_status=noq
Apr 05 20:59:41 clvm-a root[7833]: iptables-legacy -I INPUT -d 192.168.3.169 -i eth0 -j CLUSTERIP –new –

と言うトレース結果が。あれ、IP_CIP は IP アドレスじゃなくて yes が入っている! RHEL だとここには何も入らないか、IPアドレスのどちらか。なので、IP_CIP に yes が入ることがおかしい。でソースを読むと、IP_CIP が 空 じゃなくて、 ip_status が no だとすると、iptables を呼び出す模様。どうやら IP_CIP が yes なので誤動作した感じ。

openSUSE でSLES のマニュアルを見ながら、クラスタのテストをしています。clvm 環境ができたので、今度は仮想IP のテストをしようとしたらハマりました。

仮想IP の定義後、ノードを再起動すると、syslog に

Mar 23 12:28:31 clvm-a IPaddr2(vip)[3495]: ERROR: iptables failed
Mar 23 12:28:31 clvm-a pacemaker-execd[3148]: notice: vip start (call 25, PID 3394) exited with status 1 (iptables failed) (execution time 73ms)
Mar 23 12:28:31 clvm-a pacemaker-controld[3151]: notice: Result of start operation for vip on clvm-a: error (iptables failed)
Mar 23 12:28:31 clvm-a pacemaker-controld[3151]: notice: vip_start_0@clvm-a output [ iptables v1.8.7 (legacy): chain name not allowed to start with -'\n\nTryiptables -h’ or ‘iptables –help’ for more information.\nocf-exit-reason:iptables failed\n ]

調べて見たところ、crm から呼び出している IPaddr2モジュールの中で、iptables を呼び出し、それがエラーを出していました。どうも、openSUSE 15.6 にインストールされている iptables バージョン1.8.7 ではクラスタ関係の機能が無いのですね。それで動作しなかったという次第。

さて、どう対処したものか。

Proxmox VE を使い、openSUSE (だけじゃなくて、たぶん他のLinuxディストリビューションも)を動かし、ネットデバイスを再作成すると、OSから見たデバイス名が変わることがあります。たとえば今まで eth0 だったものが eth1 になるなどです。どうやら、MAC アドレスが変わると別デバイスと認識して、デバイス名を割り当て直すようです。これは、 /etc/udev/rules.d/70-persistent-net.rules を観て気がつきました。

対応としては、70-persistent-net.rules を観て、Proxmox VE で、ネットデバイスの MAC アドレスを eth0 として認識しているデバイスのものに変えてあげればうまくいきます。

この辺も参考になります。
https://syu-m-5151.hatenablog.com/entry/2017/11/03/162656

2024年振り返り

By ftake @ 2024-12-26 01:07

openSUSE Advent Calendar 2024 最後の記事です。openSUSE.Asia Summit の反動や、海外への旅立ちなどなど、なかなか厳しい結果となりました。そんな中でも若手メンバー3人が書いてくれたので、まぁ良かったかなと思います。

最後は、恒例の1年の振り返りです。

1月

OSC 大阪に出店しました。新幹線+宿のセットプランで行ったら、平日ということで色々なクーポンがついてきたため、前日に百舌古墳群に行ったり、あべのハルカスに行ったりと、大阪観光を満喫していました。夜はユーザ会関係者で前夜祭ということで、気づいたらたくさん串揚げを食べていました(2周目に入ったところで終了)

2月

Asia Summit の企画書を書く会議をした記録があります。

3月

OSC 2024 Tokyo/Spring に出展しました。オフラインの OSC も定着してきたので、関東に住んでいる若手にも新しく手伝ってもらいました。20代が3人もいて頼もしかったです。

4月

OSunC 川越に参加しました。

5月

まずは技書博こと技術書同人誌博覧会に参加しました。なんだかんだ出展者としての参加は初めてでした。奥に樽酒が少し写っていますが、懇親会で鏡割りが行われました。

OSC名古屋にも参加しました。

6月

久しぶりにOSC北海道に参加しました。しかも、一人だけではなく、今年は修太さんに加え、rlysleepynickさんがブース番をしてくれました。北海道は頼んだ!

OSC後はちょっと足を伸ばして知床へ行ってきました。

7月

openSUSE.mini Summit & Leap 15.6 リリースパーティを開催しました。懇親会枠が早々に埋まってしまいましたが、久しぶりの人が多い単独イベントになって良かったです。

OSC京都に参加しています。私は参加していないので記録なし。

8月

コミックマーケットC104に参加しました。Geeko Magazine Special Edition 2024夏号を頒布しました。今回の表紙はパイナップルでした(そろそろネタ切れ)。

9月

Open Developers Conference (ODC) に参加しました。

10月

OSC東京/Fallに参加しました。この日から Open Source Summit Japan、Open Compliance Summit、Japan SBOM Summit、openSUSE.Asia Summitと10日間連続イベントで、かなりハードなスケジュールでした。

11月

openSUSE.Asia Summit 2024を7年ぶりに日本で開催しました。アジアを中心に世界各地から約150名が麻布台ヒルズに集まりました。会場として株式会社SHIFT様に、本社のエントランスホールとカンファレンスルームを提供いただきました。

イベントレポートは年明けになりそうです。

12月

今年もopenSUSE Advent Calendarを開催しました。Advent Calendarはコミュニティ活動への入りやすい入り口ですので、ぜひ、来年はご参加ください。

12月30日にはコミックマーケットC105に出展し、Geeko Magazine Special Edition 2024冬号を頒布します。ぜひお越しください。

おわりに

2024年はAsia Summit開催のため奔走した1年となりました。2025年は2日間オフライン開催、セミナーありのフルサイズの OSC 東京/Spring が帰ってきます。会場は23区内、駒澤大学です。これ以外にも国内イベントや、できればハンズオンなどのイベントも開催していければと思います。

Geeko Magazine Special Edition 2024 冬

By ftake @ 2024-12-16 00:32

12月30日(月)コミックマーケット C105 2日目に Geeko Magazine Special Edition 2024 冬号を発行します。スペースは西2ホール”う”-04a です。午後は比較的空いていますので、チケットを事前にご購入の上、お越しください。

今回の内容は次のようになっています:

  • openSUSE.Asia Summit 2024 開催
  • Proxmox VE の CPU 回りの変更を少しだけ追いかけてみた
  • AVX 命令を使うプログラムが Proxmox の仮想マシンで動かない
  • ARM サーバーのリファレンスモデル “SBSA” ゲストを KVM ホスト上で動作させてみよう
  • 小説エーデル・シュティメ「秋雨のカメレオン・パニック」
  • Krita と AI で描く賑やかな openSUSE.Asia Summit の光景

以前から告知しています通り、 2024/11/2〜3 に openSUSE.Asia Summit 2024 は東京で開催されます!
参加登録は Connpass からお願いします。

LT発表者募集

さて、今回の openSUSE.Asia summit 2024 も前回東京開催時と同様、LT=Lightning Talkも行います。
発表時間は1人5分! 2日目、11/3 の全セッション終了後に枠を用意しています。
openSUSE や OSS に関わる内容であれば、どのような内容でも構いません。
限られた時間の中で、openSUSE やその他 Linux に関する熱い想い(?)を是非語り尽くしてください!

LT発表募集はこちらの Googleフォームからお願いします。
発表申込締切は、 10/26(sat) です!
アジアから多くの参加者が見込まれますので、スライドは英語にてお願いします。
※発表は日本語でもかまいません

openSUSE.Asia Summit 2024 への参加登録、及びLT発表を心よりお待ちしております!

Geeko Magazine Special Edition 2024夏

By ftake @ 2024-08-01 23:07

この夏も Geeko Magazine Special Edition を発行します。最初の頒布はコミックマーケットC104 月曜日 西す04a です。ぜひお越しください。

Web カタログ

  • openSUSE Leap 15.6 リリース
  • openSUSE & WireGuard で VPN サーバーを構築する
  • Proxmox VE でお試しクラスタ
  • Proxmox VE で LXC コンテナを使う
  • openSUSE でロシア語入力を楽しむ
  • Leap Micro 6.0 + Rancher + k3s で Mastodon サーバー構築してみた
  • エーデル・シュティメ―カメレオンとパンダとツンとデレ
  • 今話題の AI 技術 BitNet で CIFAR10 を解かせてみた!