Open Developers Conference に参加します

By ftake @ 2020-12-06 15:05

この記事は openSUSE Advent Calendar の6日目です。今日時点でまだ半分残っているので、みなさん参加してくださいね!

12月19日(土)に OSC でおなじみの OSPN 主催で開発者向けイベント Open Developers Conference 2020 Online が開催されます。今回は openSUSE としてではなく Cross Distro Developers Camp として出展します。
https://event.ospn.jp/ODC2020-Online/

14時からのセミナーでは「Linuxディストリビューション大集合 〜あなたのLinuxディストリビューションを見つけてみよう〜」と題し、「ディストリビューション」についての説明の後、各ディストリビューションの関係者からそれぞれのディストリビューションの特徴について紹介する予定です。openSUSE については私が担当し、Debian、Solus についての発表も聞けます。

セミナーの後、15時15分からの枠では、パネルディスカッション形式でディストリビューションの開発について話す予定です。パネリストの体験談と会場からの質問をもとに、ディストリビューションの開発に参加してみようかなと思ってもらえるような情報を提供できればと思っています。

openSUSE Advent Calendar 2020 が始まりました。今年も完走できるのか!?まだ空きがありますので、みなさんご協力お願いします。

みなさん、Spotify を使っていますか? Spotify は定額サブスクリプションで音楽をストリーミングで聴けるサービスです。再生クライアントはデスクトップ、モバイル各種プラットフォームに対応しており、さらに Linux 用の公式クライアントもあります。

これまで音楽を再生するときは、PC から再生するか、PCの電源が切れているときは、スマホとオーディオアンプ(AI-301DA)を Bluetooth で接続して再生していました。ただ、スマホからの再生は電池を消費するのがちょっと難点です。

ということで、常時電源が点いているファイルサーバー(もちろん OS は openSUSE)から Spotify を再生できるようにしてみました。Spotify の公式クライアントにはちょっと便利な機能があり、自身のアカウントでログインした、他のデバイスの Spotify クライアントを使ってリモートで再生することができます(Spotify Connect)。スマホの Spotify クライアントを使って、PC や Amazon Echo から再生するというのがおそらく一般的な使い方です。

ファイルサーバーにはディスプレイが接続されておらず、デスクトップ環境も動いていませんので、公式の Spotify クライアントではなく、今回は Spotifyd という OSS の非公式クライアントを使用してみました。その名の通り、デーモンとしてバックグラウンドで動作するクライアントです。

ビルド・インストール

誰かが作ったパッケージがあるにはあるのですが、今回はソースからビルドしてインストールしました。master ブランチではなく、リリース版の 0.2.24 を使います。設定ファイルのフォーマットが違う(master では TOML 形式になっている)ので、ドキュメントのバージョンには気をつけて下さい。

https://github.com/Spotifyd/spotifyd/releases/tag/v0.2.24

Rust は openSUSE Leap 15.2 で提供されているものが使えました。

$ sudo zypper in cargo alsa-devel make gcc

ドキュメントに従ってビルドします。

cargo build --release

ビルド結果は target/release/spotifyd にありますので、これをファイルサーバーの /opt/spotifyd/bin あたりに転送します。

設定

/etc/spotifyd.conf を作成します。設定例は README.md に書いてあるとおりです。 https://github.com/Spotifyd/spotifyd/blob/v0.2.24/README.md

  • password: Spotify の管理画面でデバイス用のパスワードを発行しておく
  • device: 書いてあるとおり aplay -L で使いたい出力のデバイス名を調べて下さい
  • cache_path: /var/cache/spotifyd あたりに設定しておきましょう

自動起動に使用する service ファイル(/etc/systemd/system/spotifyd.service)はこんな感じです。ソースコードの contrib ディレクトリ内の例からは少し変えてあります。まず、User は spotifyd ユーザーを作成して root から落としてあります。RestartSec は、spotifyd がときどき落ちていることがあったので、起動ループになると嫌だなと思い、長めに設定してみました。

[Unit]
Description=A spotify playing daemon
Documentation=https://github.com/Spotifyd/spotifyd
Wants=sound.target After=sound.target Wants=network-online.target
After=network-online.target [Service] ExecStart=/opt/spotifyd/bin/spotifyd --no-daemon Restart=always RestartSec=300 User=spotifyd Group=nobody Type=simple [Install] WantedBy=default.target

あとは spotifyd を起動して、クライアントからデバイスに接続できるかを試してみて下さい。

$ systemctl enable spotifyd
$ systemctl start spotifyd

最近、電源が壊れたPCを1台リプレースし、余ったマザーボード、CPU、メモリーでファイルサーバーを構築しました。その際にデータをファイルサーバーに移し、デスクトップ PC の HDD を外してしまったので、仮想マシン用の VM の仮想ディスクイメージもファイルサーバーに移す必要がありました。しかし、Hyper-V のディスクイメージは Samba サーバーに置くことができないようなので、仮想マシンのディスクイメージを iSCSI で Hyper-V に接続するようにしてみました。

今日は openSUSE Leap 15.2 (beta) で iSCSI Target(サーバー)のセットアップ方法を紹介します。今回設定する構成はディスクイメージを iSCSI で公開するファイルサーバーと、ファイルサーバーと同じネットワークにあり、そのディスクイメージを使用する Windows 10 のデスクトップ PC からなる単純なものです。

必要なパッケージは targetcli をインストールすれば揃います。YaST でも設定できるのですが、設定できる項目が少ないようなので、targetcli を使って設定します。

$ sudo zypper in targetcli

それでは targetcli を起動して設定していきます。

$ sudo targetcli

まずはディスクイメージファイルを作成します。targetcli の中で /backstores/fileio に移動して、create コマンドでディスクイメージを作成できますここでは /var/storage/disk1.img に 10 GB のディスクイメージ作成します。 /var/storage ディレクトリは先に作成しておく必要があります。

ls コマンドで disk1 が作成されたことが確認できます。

/> cd backstores/fileio 
/backstores/fileio> create file_or_dev=/var/storage/disk1.img name=disk1 size=10G
Created fileio disk1 with size 10737418240
/backstores/fileio> ls
o- fileio ............................................................. [Storage Objects: 1]
  o- disk1 ....................... [/var/storage/disk1.img (10.0GiB) write-back deactivated]
    o- alua ............................................................... [ALUA Groups: 1]
      o- default_tg_pt_gp ................................... [ALUA state: Active/optimized]

次に /iscsi で create コマンドを実行し、iSCSI の target を作成します。create の IQN 形式の ID を省略すると勝手に作成してくれます。

/backstores/fileio> cd /iscsi
/iscsi> create
Created target iqn.2003-01.org.linux-iscsi.testserver.x8664:sn.b527a14e621a.
Created TPG 1.
Global pref auto_add_default_portal=true
Created default portal listening on all IPs (0.0.0.0), port 3260.
/iscsi> ls
o- iscsi ...................................................................... [Targets: 1]
  o- iqn.2003-01.org.linux-iscsi.testserver.x8664:sn.b527a14e621a ................ [TPGs: 1]
    o- tpg1 ......................................................... [no-gen-acls, no-auth]
      o- acls .................................................................... [ACLs: 0]
      o- luns .................................................................... [LUNs: 0]
      o- portals .............................................................. [Portals: 1]
        o- 0.0.0.0:3260 ............................................................... [OK]

この target で公開するディスク (lun0) を作成し、最初に作成したディスクイメージ(/backstores/fileio/disk1)を割り当てます。

/iscsi> cd iqn.2003-01.org.linux-iscsi.testserver.x8664:sn.b527a14e621a/tpg1/luns
/iscsi/iqn.20...21a/tpg1/luns> create storage_object=/backstores/fileio/disk1 
Created LUN 0.
/iscsi/iqn.20...21a/tpg1/luns> ls
o- luns .......................................................................... [LUNs: 1]
  o- lun0 ....................... [fileio/disk1 (/var/storage/disk1.img) (default_tg_pt_gp)]

最後に、この taget にはデスクトップPC からしかアクセスできないようにします。ここではデスクトップPCのID(Windows の iSCSI イニシエーターに設定するもの)を iqn.2020-04.example.com:desktop-pc とします。tpg1/acls 内でイニシエーター名を指定し、create コマンドを実行します。さらに、ユーザーIDとパスワードを設定し、事実上誰からもアクセスできる状態にならないようにします。

/iscsi/iqn.20...21a/tpg1/luns> cd ../acls
/iscsi/iqn.20...21a/tpg1/acls> create iqn.2020-04.example.com:desktop-pc
Created Node ACL for iqn.2020-04.example.com:desktop-pc
Created mapped LUN 0.
/iscsi/iqn.20...21a/tpg1/acls> cd iqn.2020-04.example.com:desktop-pc/
/iscsi/iqn.20...om:desktop-pc> set auth userid=testuser
Parameter userid is now 'testuser'.
/iscsi/iqn.20...om:desktop-pc> set auth password=testpassword1234
Parameter password is now 'testpassword1234'.
/iscsi/iqn.20...om:desktop-pc> ls
o- iqn.2020-04.example.com:desktop-pc ..................................... [Mapped LUNs: 1]
  o- mapped_lun0 .................................................. [lun0 fileio/disk1 (rw)]

この段階で mapped_lun0 が作成され、iqn.2020-04.example.com:desktop-pc に mapped_lun0 が作成されます。Leap 15.1 で試したときは、この mapped_lun0 が自動的に作成されず、Windows の iSCSI イニシエーターから接続してもディスクが何も表示されない状態になってしまいました。このような場合は、次のコマンドで mapped_lun を作成することができます。

create mapped_lun=0 tpg_lun_or_backstore=lun0

これまでの設定は以下の通りです。この状態で Windows の iSCSI イニシエーターでファイルサーバーに接続すると、ディスクの管理で iqn.2003-01.org.linux-iscsi.testserver.x8664:sn.b527a14e621a の lun0 (/backstores/fileio/disk1, /var/storage/disk1.img) がディスクとして見えるようになります。あとは Hyper-V でこのディスクを割り当てれば仮想マシンのディスクとして使用することができます。

/> ls /
o- / ................................................................................. [...]
  o- backstores ...................................................................... [...]
  | o- block .......................................................... [Storage Objects: 0]
  | o- fileio ......................................................... [Storage Objects: 1]
  | | o- disk1 ..................... [/var/storage/disk1.img (10.0GiB) write-back activated]
  | |   o- alua ........................................................... [ALUA Groups: 1]
  | |     o- default_tg_pt_gp ............................... [ALUA state: Active/optimized]
  | o- pscsi .......................................................... [Storage Objects: 0]
  | o- ramdisk ........................................................ [Storage Objects: 0]
  | o- rbd ............................................................ [Storage Objects: 0]
  o- iscsi .................................................................... [Targets: 1]
  | o- iqn.2003-01.org.linux-iscsi.testserver.x8664:sn.b527a14e621a .............. [TPGs: 1]
  |   o- tpg1 ....................................................... [no-gen-acls, no-auth]
  |     o- acls .................................................................. [ACLs: 1]
  |     | o- iqn.2020-04.example.com:desktop-pc ........................... [Mapped LUNs: 1]
  |     |   o- mapped_lun0 ........................................ [lun0 fileio/disk1 (rw)]
  |     o- luns .................................................................. [LUNs: 1]
  |     | o- lun0 ............... [fileio/disk1 (/var/storage/disk1.img) (default_tg_pt_gp)]
  |     o- portals ............................................................ [Portals: 1]
  |       o- 0.0.0.0:3260 ............................................................. [OK]
  o- loopback ................................................................. [Targets: 0]
  o- vhost .................................................................... [Targets: 0]
  o- xen-pvscsi ............................................................... [Targets: 0]

2019年のイベントふりかえり

By ftake @ 2019-12-25 23:55

openSUSE Advent Calendar 25日目です。今回も無事完走できました。

最終日の今日は1年間のイベントをふりかえってみます。全体の傾向としては、今年は毎年抑えている OSC のみで、北海道や島根などの地方 OSC への参加は少なめでした。

また、OSC 東京の後、高幡不動で飲んでいる間に企画が立ち上がった Cross Distribution Developers Camp (XDDC) が始動し、openSUSE 単独のもくもく会のかわりに、他のディストリビューションを巻き込んだイベントが多くなりました。

1月

  • openSUSE もくもく会・新年会@京都
  • OSC 大阪
    • ブースのみ出展

2月

  • OSC 浜名湖
    • 「eBPFを使ってシステムコールをトレースしてみよう」(川上さん)
  • OSC Tokyo/Spring
    • 「Kubic で簡単お手軽 Kubernetes クラスタ構築」(修太さん)
    • 「最近良く聞く Kubernetes を体験してみた」(武山)

3月

  • openSUSE Leap 15.1 Bug Squashing Party

5月

  • openSUSE Conference
  • openSUSE Leap 15.1 リリース

6月

  • ディストリビューション開発合宿

7月

  • OSC 名古屋
    • 「GPU仮想化最前線 – KVMGTとvirtio-gpu -」(安藤さん)
  • openSUSE mini Summit

8月

  • OSC 京都
    • 「XDPによる高速パケット処理プログラミング入門」(川上さん)
  • コミックマーケット C96
  • Open Developers Conference
    • 「日本語入力の危機を乗り越える インプットメソッド・フレームワークとかな漢字変換に訪れている課題とその対策」(Cross Distribution Developers Camp)

9月

  • ディストリ開発もくもく会
  • 技術書展7

10月

  • openSUSE.Asia Summit 2019

11月

  • 関西オープンフォーラム
  • ディストリビューション開発合宿
  • OSC Tokyo/Fall
    • 「最近よく聞く!? ― eBPF (extended Berkeley Packet Filter) を用いた PostgreSQL の性能測定」(川上さん)

12月

  • コミックマーケットC97(4日目の12/31です)

来年のイベントは?

コミケがまだ残っていますが、来年は京都のもくもく会&新年会東京の新年会からスタートです。その後は OSC 大阪に出展します。

それでは来年もよろしくお願い致します。良いお年を。

LibreOffice Advent CalendaropenSUSE Advent Calendar の 22 日目です。毎年、二重投稿ですみません。

今日もちょっと小ネタで LibreOffice で OpenType フォントの機能(feature)の使い方です。※ feature の訳が機能で良いかはいつも困ります

スライドなどで、Noto Sans JP (Noto Sans CJK JP) や源ノ角ゴシックを使うと、IPA Pゴシックや、Meiryo UI、Migu 1C などのプロポーショナル日本語フォントに慣れていると、ちょっと間隔が空き過ぎと思う人はいるのではないでしょうか?

Noto Sans JP を普通に使うと

実は、Noto Sans JP フォントには、プロポーショナルなフォントの文字送り情報が含まれており、OpenType フォントの機能の Proportional Alternate Metrics をサポートするソフトウェアで使用することができます。最近の LibreOffice でもサポートされています。先ほどのスライドはこんな感じになります。見慣れた感じになりますね。

Noto Sans JP:palt

palt を使うには、フォント設定ダイアログの「機能」ボタンを押してダイアログを出し「Proportional Alternate Metrics」を選ぶか、フォント名の最後に「:palt」を付けます。他にも色々な機能がありますが、LibreOffice ではすべての機能に対応しているわけではないようです(選択しても有効にならないものあり)。

OpenType フォントの機能のダイアログ

OpenType フォントの機能について、詳しく知りたい方は以下のページをチェックしてみて下さい。
https://helpx.adobe.com/jp/fonts/using/open-type-syntax.html#palt

openSUSE Advent Calender の 16日目です。今日は小ネタです。

スマートフォンを通してインターネットに接続するテザリングをするとき、一般的には Wi-Fi を使ってスマートフォンと PC を接続することが多いのではないかと思います。

実はUSBケーブルで接続してテザリングをすることもできます。充電・電源供給しながら使用することができるので、長時間使うときには便利です。

Android のスマートフォンであれば、どの機種でも簡単にできます。USB ケーブルで接続し、スマートフォン側のネットワークの設定で USB テザリングを有効にすれば、特にパッケージ等のインストールをすることなくつながります。

Network Manager では、1番目に Type-C で接続した有線LANアダプタがあるため、スマートフォンは「Wired connection 2」として設定されました。

openSUSE Advent Calendar 9日目です。

M5Stack は 5.5 cm 角のディスプレイとバッテリー付きのマイコンです。SoC は ESP32 で、Wi-Fi も使えます。近々 Arduino のハンズオンを行う予定で、M5Stack を Arduino 互換ボードとして開発する環境を openSUSE 上に整えてみました。

ハードウェアのセットアップは簡単で、openSUSE が動く PC に接続するだけで cp210x として認識されます。ただし、少し前の brltty にバグがあり、アップデートが適用されていないと、M5STACK が点字ディスプレイとして持って行かれてしまいますのでご注意下さい。

[145368.714737] usb 1-1: new full-speed USB device number 15 using xhci_hcd
[145368.864518] usb 1-1: New USB device found, idVendor=10c4, idProduct=ea60, bcdDevice= 1.00
[145368.864523] usb 1-1: New USB device strings: Mfr=1, Product=2, SerialNumber=3
[145368.864526] usb 1-1: Product: CP2104 USB to UART Bridge Controller
[145368.864529] usb 1-1: Manufacturer: Silicon Labs
[145368.864531] usb 1-1: SerialNumber: 01CA75D7
[145368.866438] cp210x 1-1:1.0: cp210x converter detected
[145368.871368] usb 1-1: cp210x converter now attached to ttyUSB0

Arduino の開発環境である Arduino IDE は以下のサイトからダウンロードして、適当なディレクトリに展開します(/opt/arduino など)。Flatpak でインストールしたいところですが、ESP32 のコンパイラが Python を必要とするため、Python を同梱していない Flatpak 版は使用できません。
https://www.arduino.cc/en/Main/Software

インストールした Arduino IDE を起動して、ESP32用のツールをダウンロードします。「環境設定」を開いて「追加のボードマネージャのURL」に次のURLを設定します:
https://raw.githubusercontent.com/espressif/arduino-esp32/gh-pages/package_esp32_index.json

「ツール」から「ボードマネージャ」を起動し、ESP32 の開発環境をインストールします。

ボードマネージャを使用しない方法は以下を参照:
https://github.com/espressif/arduino-esp32/blob/master/docs/arduino-ide/boards_manager.md

1つだけインストールしなければならないのが python2-pyserial です。ビルド時に ESP32 のビルドツールが使用します。zypper か YaST からインストールして下さい。

あとは、「ツール」 > 「シリアルポート」を /dev/ttyUSB0 (dmesg に出てきたデバイス名)に設定したら準備完了です。

Arduino IDE は Java アプリで、デフォルトの設定ではフォントがきれいでないのが残念。この設定変更はまたの機会に。