この記事は openSUSE Advent Calendar 2022 の1日目です。

systemd が使われるようになると、daemon の制御とかのやり方は大きく変わりました。/etc/init.d にあるスクリプトから、systemd パッケージに含まれるコマンドを使うようになってきました。それらのコマンドは、xxxxxctl という、末尾に ctl が含まれるものが多いように感じました。そこで、/usr/bin/ の中にある、末尾が ctl なプログラムがどんなものかを簡単に調べて見ることにしました。
今回は、bluetoothctl を紹介します。

コマンド名: bluetoothctl
パッケージ: bluez-5.55-150300.3.11.1.x86_64
動作: ○

詳細:
bluetooth の制御をするためのコマンドです。初っ端からですが、systemd とは無関係です。動作には、bluethoothd が必要です。
手持ちの、openSUSE が動く物理マシンでは、bluetooth 機能が標準で入っていなかったので、USB 接続の、バッファローの USB アダプタを使って検証してみました。

まずは、systemd で bluetoothd を起動しておきます。
続いて、USB アダプタを差し込み、bluetoothctl を起動します。
起動すると、プロンプトが表示されるので、デバイスのスキャンをするため、スキャンコマンドを入力すると、エラーになってしまいます。

# bluetoothctl
Agent registered
[CHG] Controller 00:1B:DC:F3:8B:51 Pairable: yes
[bluetooth]# scan on
Failed to start discovery: org.bluez.Error.NotReady
[bluetooth]#

これは、USB Bluetooth アダプタを差し込んだだけでは、まだ機能が動いていないためです。まずは、Bluetooth アダプタの機能を有効にするため、power on と入力します。すると、今度は見えるようになりました。

# power on
[CHG] Controller 00:1B:DC:F3:8B:51 Class: 0x00000104
Changing power on succeeded
[CHG] Controller 00:1B:DC:F3:8B:51 Powered: yes
[bluetooth]# scan on
Discovery started
[CHG] Controller 00:1B:DC:F3:8B:51 Discovering: yes
[NEW] Device 77:6C:E6:94:2A:38 77-6C-E6-94-2A-38
[NEW] Device 7E:4D:FE:CB:CC:D9 7E-4D-FE-CB-CC-D9
[CHG] Device 77:6C:E6:94:2A:38 RSSI: -73
[NEW] Device 4C:FD:32:93:41:95 4C-FD-32-93-41-95
[CHG] Device 77:6C:E6:94:2A:38 RSSI: -65
[NEW] Device 46:D9:DC:39:CC:E8 46-D9-DC-39-CC-E8
[NEW] Device 8C:DE:52:B8:AB:EA SRS-X33
[CHG] Device 77:6C:E6:94:2A:38 RSSI: -73
[CHG] Device 77:6C:E6:94:2A:38 RSSI: -65
[bluetooth]#

ここで、pair コマンドを入力すると

# pair 8C:DE:52:B8:AB:EA
Attempting to pair with 8C:DE:52:B8:AB:EA
[CHG] Device 8C:DE:52:B8:AB:EA Connected: yes
[CHG] Device 8C:DE:52:B8:AB:EA Modalias: bluetooth:v0039p1582d2110
[CHG] Device 8C:DE:52:B8:AB:EA UUIDs: 00001108-0000-1000-8000-00805f9b34fb
[CHG] Device 8C:DE:52:B8:AB:EA UUIDs: 0000110b-0000-1000-8000-00805f9b34fb
[CHG] Device 8C:DE:52:B8:AB:EA UUIDs: 0000110c-0000-1000-8000-00805f9b34fb
[CHG] Device 8C:DE:52:B8:AB:EA UUIDs: 0000110e-0000-1000-8000-00805f9b34fb
[CHG] Device 8C:DE:52:B8:AB:EA UUIDs: 0000111e-0000-1000-8000-00805f9b34fb
[CHG] Device 8C:DE:52:B8:AB:EA UUIDs: 00001200-0000-1000-8000-00805f9b34fb
[CHG] Device 8C:DE:52:B8:AB:EA ServicesResolved: yes
[CHG] Device 8C:DE:52:B8:AB:EA Paired: yes
Pairing successful
[bluetooth]#

となり、ペアリングが出来るようになりました。

この先は試してみていませんが、デバイスの削除とか情報の取得とか色々できるようです。
GUI な環境が無い状況での bluetooth 利用には使えると思います。

tftp を使う時に xinetd は不要だった

By ribbon @ 2022-11-14 09:37

ネットワークブートなどを行う時、tftp を起動させるために xinetd を使うことがあります。Cent OSだとバージョン7くらいまではそうなってました。しかし、openSUSE Leap 15.4 の /etc/xinetd.d を見ると、tftp の記述がありません。いろいろ調べて見ると、

systemctl enable tftp
systemctl start tftp

で出来てしまうのですね。
サービスの類いはすべて systemd で、という流れなのでしょう。
15.4 では、/etc/xinetd.d/ には、chargen,daytime,discard,echor,servers,services,time しか残っていませんでした。

kkc.el はどんなものなのか

By ribbon @ 2022-06-19 22:36

Emacs で日本語テキストを入力する場合、通常は Windows 上のかな漢字変換システムを使っています(Teraterm からつなぎ込んで作業をすることが大半なので)。ATOK 、Google日本語入力、MS-IME(どうしても、という場合)のどれかを使うのですが、コンソールのみで漢字変換が出来ればもう少し楽になります。
色々調べたところ、Ctrl+\ でかな漢字変換モードになる事が分かりました。かな漢字変換モードになると、Emacs 内部でかな漢字変換が出来るようになります。しかし、かな漢字変換のための変換サーバやライブラリをインストールした覚えはありません。しかも、その手のソフトを全く入れていない、FreeBSD でもかな漢字変換モードが動いてしまうのですね。そこで、一体どうやっているのかを探ってみました。

Ctrl+\ でかな漢字変換モードになると、kkc-なんとか というコマンドが使えるようになります。ただ、一覧を出してみても、バージョン情報等はでてきませんでした。そこで、emacs のソースを展開し、kkc というキーワードで展開してみると、 kkc.el というのが見つかりました。中身をみると、この emacs lisp 自体でかな漢字変換作業をしているようです。コメント欄には AIST が作ったと書いてありました。AIST から GNU に寄贈され、GNU Emacs の一部になっていることのようです。ソースは

http://git.savannah.gnu.org/cgit/emacs.git/tree/lisp/international/kinsoku.el?h=emacs-28

にありました。

確かに、他のかな漢字変換システムを使わなくとも、Emacs だけでかな漢字変換作業が出来るのは便利なのですが、機能がちょっと低すぎます。最低限のことしか出来ません。また、カスタマイズも出来ません。どちらかというと、他のかな漢字変換システムが動いていないときの非常用、という感じがします。

今回は ncdu を紹介します。

ncdu は curces を使用した、ディスク使用量を表示するツールです。その名の通り、du の curces 版です。起動すると、カレントディレクトリの各サブディレクトリやファイルの大きさや使用量を表示します。

注目するディレクトリは、カーソルキーまたは jk キー(vi と同じ)で移動でき、ENTERキーで、そのディレクトリに入ることができます。また、名前順、日付順、項目の数順(おそらく、サブディレクトリ中の項目数)、mtime順に整列し直すこともできます。項目数については、c キーを入力することで表示することもできます。画面の左端には、そのディレクトリの状況(空白とか、読み取れないとか)が表示される場合があります。
起動時にディレクトリを指定することで、任意のディレクトリの状況を表示できます。また、? キーを押すとヘルプ画面が表示されます。

ヘルプにも書いてあるとおり、ncdu から直接ファイルを削除することもできます。ディレクトリを渡りながら、不要なファイルを削除するという作業が効率的に行えます。

du を使って一つずつ調べていくよりも、ncdu を使った方がはるかに効率的に作業ができるので、不要なファイルの掃除をする際には便利に使えそうです。常備しても良さそうです。

今回は ranger を紹介します。

ranger は、コンソール上で動作するファイラーです。日本語化はされていませんが、要所要所で動的にヘルプが出てくるため、それほど困ることはありません。コンソール上で動作するファイラーには mc が有名ですが、mc とは違い、標準で1つのディレクトリに注目するタイプです。
起動すると、このような画面が表示されます。

画面は、三つのペインからなり、左二つがディレクトリ、一番右が注目しているファイルの内容を表示します。テキストファイルであればほとんどのものが表示できます。UTF-8でエンコードされていれば、日本語も表示できます。また、バイナリファイルでも、一部の形式では、ファイルの情報を表示します。
真ん中のペインが今注目しているディレクトリです。ファイルやディレクトリの選択にはカーソルキーのほか、vi と同じ hjkl のキーが使えます。但し、vi のキー配置は、QWERTY 配列に特化しているので、 DVORAK 配列で使うとかなり使いにくいです。

また、複数の画面を管理出来ます。この機能は、タブ機能を使います。”g”の次に”n”を入力することで、タブが有効になり、複数のディレクトリ表示ができるようになります。TAB キーで画面を切り換えることもできますし、”~”キーで左右に表示させることもできます。たとえば、片方のディレクトリからもう片方のディレクトリにファイルをコピーする際には、スペースキーで対象のファイルやディレクトリを選択した後、vi 風のコマンド yy でコピーして、pp でペーストします。

ranger にはこのほかにも、ファイルの整列や検索、パーミッションの設定、シェルの実行など多数の機能があります。色々試してみても面白いと思います。

今回は rainbow を紹介します。

rainbow は コマンドの出力に色を付け、見やすくするツールです。たとえば、ping の結果に対して、IP アドレス部分に色を付けることができます。

いくつかのプログラムについては、あらかじめ色を付けるパターンが用意されています。上記の例では、 ping の場合には、IPv4 アドレスに対してマゼンタで着色するように定義ファイルが用意されています。あらかじめ用意されているパターンについては rainbow の引数としてコマンドを指定できます。
そのほかに、個別のパターンを指定して色を付けることもできます。たとえば、IP アドレスに対して黄色を着色したい場合は、下記のようにします。

あらかじめ用意されているパターンは、df、env、ifconfig、jboss、mvn、tomcat、diff、host、java-stack-trace、md5sum、ping、traceroute があります。そのほかに、太字(bold)、網掛け(faint)、イタリック(italic)なども指定できます。

今回は cool-retro-term を紹介します。

cool-retro-term は、ターミナルエミュレータですが、CRT での画面イメージを模した表示を行います。たとえば、アンバー色の単色で、CRT の画面のゆがみや、走査線による輝度の変化などを再現しています。アンバー色の単色以外にも、緑色の単色、Appre II、IBM DOS(これはカラー)、IBM 3728(0のフォントが、真ん中にドットがある)などが選べます。また、エフェクト(画面のゆがみ、走査線など)も適宜設定することができます。
ちょっと雰囲気を変えたいときには良いかもしれません。