openSUSE 統合フォーラム稼働開始

By HeliosReds @ 2008-06-11 11:13

<<Tuesday, June 10th, 2008 by Joe Brockmeier>>

openSUSE プロジェクトは、openSUSE の3大英語専用サポートフォーラムである openSUSE Novell サポートフォーラム、suseforums.net、そして suselinuxsupport.de が統合された forums.opensuse.org が稼働を開始したことを、ここに報告いたします。forums.opensuse.org において統合されたフォーラムは、openSUSE コミュニティのために、サポートを求めることも openSUSE について語ることもできる場を提供します。

このフォーラムは、suseforums.net、suselinuxsupport.de、そして Novell フォーラムのスタッフがお互いに協力し合うことにより6月9日より稼働を開始しました。

この新しいインフラは、最高級のサービスを提供するために Novell の openSUSE プロジェクトに対するサポートの一部として Novell によりホストされています。

forums.opensuse.org に配置されたフォーラムは、早速利用可能となっています。Wiki、Bugzilla、その他のサービス用に既に openSUSE のアカウントを取得しているユーザは、そのままそのユーザ名をこのフォーラムでも使うことができます。suseforums.net と suselinuxsupport.de のユーザは、forums.opensuse.org で新しいアカウントを作成することができます。

稼働が開始したことをもって、フォーラムチームが openSUSE コミュニティをサポートするために新機能を追加する手を休めることはありません。統合フォーラムは、すべての openSUSE ユーザと貢献者に、交流したりお互いに助け合うためのより良い方法をもたらすための第一歩でしかありません。

このフォーラムについて質問やコメントがありましたら、フォーラムのスタッフは Freenode の以下の IRC チャンネル 上で見つけることができるはずです。
#opensuse-forums

<< Translated by Satoru Matsumoto>>

※原文はこちら

forums.opensuse.org 間もなく始動

By HeliosReds @ 2008-06-07 03:30

すでに3月にはその計画が発表されていましたが、いよいよ9日から forums.opensuse.org(6/7現在、まだ利用はできません)が動き始めるようです(アナウンスメント)。

この forums.opensuse.org というのは、suseforums.net、suselinuxsupport.de、forums.novell.com の”openSUSE support forums”という3大(英語)ユーザ・サポート・フォーラムを統合したもので、opensuse.org のユーザアカウントでそのまま利用できるものとなります。

フォーラムと聞くと、思い出すのは先日の Linux World での .org パビリオンのパネルディスカッションで聞いた、日本LDAPユーザ会/日本Sambaユーザ会の小田切さんのお話。

従来のオープンソース開発コミュニティにとって情報交換メディアのメインだったメーリングリストは、どうも、若い世代にとってはちょっと敷居が高いものらしく、新規参加者が少なく、また、投稿される量なども減少傾向にある。彼らにとっては、フォーラムだとか BBS だとかに書き込む方が気楽で、質問等もむしろそちらに投稿することが多いようだ。ところが、そういった質問に回答してあげられるだけの知識、経験を持っている「おじさん世代」にとっては、メーリングリストであれば質問は放っておいても自分の元に届くので「いっちょ答えてやるか」という気持ちにもなれるが、どんな質問が上がっているかわざわざこちらから覗きにいかなければならないフォーラムや BBS だと、どうしても面倒に感じてしまう。結果、フォーラムや BBS に投げられた質問に対してはあまり有効な回答が付かないか、あるいは中途半端な知識しか持っていない者による不正確な回答が氾濫しやすくなる。

確かに、opensuse-ja メーリングリストを見てみても、けして活発にやりとりが行われているとは言い難いし、他のコミュニティのメーリングリストを覗いてみても、やはり似たような状況。かたや、OKWave のような質問掲示板には毎日かなりの量の投稿が集まるし、openSUSE についてだけ見ても、2ch の方がむしろ活気があったりする。

質問する側からすれば、入り込みやすいフォーラムは魅力でしょうが、問題となるのは、回答してあげられる知識とモチベーションを持った人をどれだけ集められるか。今回の本家での動き、しばらくその成り行きを見ていって、盗めそうなノウハウはどんどん盗んでいきたいものです。

DistroWatch の”ページヒットランキング”で、デフォルト表示の “Last 6 months” だと首位は Ubuntu なのですが、集計期間を “Last 7 days” として表示すると、(6/6)現在、 openSUSE が首位に立っています。

distrowatch_hpd_ranking_7days_20080606

ZDNet のブログ(英語)でも「もし Ubuntu をフォルクスワーゲンだとするなら、openSUSE はメルセデス・ベンツだ」と評価されているようで、11.0 のリリースに向けて皆さんの注目が集まってきているようです。

siga と supportconfig

By HeliosReds @ 2008-06-06 16:36

SUSE には、他のディストリビューションにはないオリジナルの便利なコマンド(代表格といえば、SuSEconfig でしょうか…)が同梱されてたりしますよね。

そんなオリジナルコマンドの一つに siga(System Information GAthering) というコマンドがあることはご存知でしょう(…えっ!? 知らない!? でしたらこの機会に覚えてしまいましょう)。root 権限でこのコマンドを実行すると、その名の通りシステム情報を収集して /tmp/siga 以下に siga.txt、siga.html というファイルにして書き出してくれるので、リモートの相手をサポートしてあげなければならない場合等、いちいち相手の環境を問い質すより、このコマンドの実行結果を送ってもらった方が正確で話が早かったりするわけです。

で、実は最近Cool Solutionsを見ていて見つけたのですが、siga と同じような用途で使える supportconfig というツールがあるとのこと。SLE についての情報として紹介されているんですが、実は openSUSE でも使えるツールなので、早速試してみました。

上記リンク先でインストール手順に書かれている

1. Uninstall the supportconfig and chkbin RPM packages

…については、openSUSE であればデフォルトで入っているようなパッケージではないので省略可能です。また、同リンクからダウンロードできる ntsutils パッケージは既にちょっと古くなってしまっているので、ここは BuildService にある最新パッケージを 1-Click Install で入れてしまいましょう。

インストールしてしまえば、後は root 権限で supportconfig コマンドを実行するだけ。これで、/var/log 以下に nts_HOSTNAME_YYMMDD_hhmm.tbz という名前の圧縮されたファイルが出来上がります。そのファイルを展開すると、basic-environment.txt、basic-health-check.txt、boot.txt、chkconfig.txt…といった形で、小分けにされたテキストファイルが見つかります(このへんが、単一のファイルとして出力される siga と違うところでしょうか…)。

siga も supportconfig も、本来の用途は Novell のサポートを受けるための基本情報収集にあるわけですが、それは抜きにしても、一度実行してみてどんな結果が出力されるか一通り見ておくと、とても勉強になります。是非お試しください。

もう一つの”OpenOffice.org”

By HeliosReds @ 2008-06-06 13:57

openSUSE(デスクトップ環境として KDE や GNOME を選択した場合) や SLED をインストールすると、デフォルトでインストールされる OpenOffice.org(以下、OOo) 。当たり前のように使ってしまっているので見落としがちですが、実はこれ、Sun の本家サイトや OOo 日本ユーザ会から入手できるものとはちょっと内容が異なっていて、細かい部分で独自のチューンナップが施された、いわば”Enhanced by Novell”なバージョンであるということ、ご存知だったでしょうか?

で、この独自の OOo 、他のディストリビューションでも使える RPM も公開されているんですが、実は Linux バージョンだけでなく、Windows バージョンも公開されています。
“Your Office Suite” — go-oo.org


Novell の FTP サイトの projects 以下からも入手できますので、Windows 環境でも SUSE で使い慣れた OOo を使いたい!という方は是非お試しください。

openSUSE 11.0 RC1 のリリースアナウンスメントでも Most Annoying Bugs として挙げられている下記、

GRUB config broken for other partitions.

…について、ついうっかり忘れて「やっちまったぁ」ので、自戒の意味を込めた備忘録です。

今回 11.0 RC1 を入れてみたマシンのパーティション構成は以下のような感じ。

  • /dev/sda1 -> Windows C:\
  • /dev/sda2 -> Windows D:\ (実は Windows は未インストール)
  • /dev/sda3 -> swap
  • /dev/sda4 -> Extended
  • /dev/sda5 -> openSUSE 10.2 (/boot)
  • /dev/sda6 -> openSUSE 10.2 (/)
  • /dev/sda7 -> openSUSE 10.3 (/boot)
  • /dev/sda8 -> openSUSE 10.3 (/)

この、10.2 で使っていた領域(/dev/sda5、/dev/sda6)に 11.0 RC1 を入れてみたのですが、インストールに伴い MBR に上書きされた grub からだと、10.3 が起動できないという罠が待ち構えていたわけです。

/boot/grub/menu.lst を見てみると、最初は本来自動で認識されて加えられているはずの 10.3 のエントリそのものが見当たらない。YaST 経由で追加してやっても

title openSUSE 103
root (hd0,6)

…というエントリがポツンと書き加えられるだけ。この後に続くべき

configfile /boot/grub/menu.lst

が見当たりません。

ただ、これはあくまで「YaST を通じてブートローダの設定をした場合正しく/boot/grub/menu.lst に書き込まれていかない」ということで、grub そのものが壊れているわけではないので、ここは慌てず騒がず configfile 以下を追記してあげて
# grub-install /dev/sda
としてやれば無事に 10.3 も起動できるようになってくれます。

実は私、コンピュータそのものに本格的に触れるようになったのは、すでに40代になってしまっていた後のこと。それまでは、当時勤めていた出版社で、共有のパソコンをたまにいじるくらい。やることも単に原稿の入力(当時、出版業界にも DTP の波が押し寄せ、原稿用紙に手書き、というスタイルがなくなりつつありました)くらいで、コンピュータの中で何がどうなっているのかまったく理解もしていませんでした。

そんな私の家にパソコンがやってきたのは2001年の半ば頃。「インターネットやメールがしたい」という家内に押し切られ、彼女の友人氏からタダでいただけるということでもらった Windows 2000 機(IBM の Aptiva)が、我が家の第1号機ということになります。(ちなみに、その Aptiva は今でも現役で、我が家のルータとしてその存在感を示しつづけています)

その当時すでに Linux という OS が存在することは聞き知っていて、「世界中のボランティアが寄ってたかって開発を進め、誰でも無料で使える」ということに興味を惹かれていた私は、「どうせイチから覚えなければいけないのだったら、苦労するのは Windows でも Linux でも一緒だろう」「だったら、Linux から先に覚えてしまおう」と、逆にな〜んにも知らないことを武器に、いきなりの Linux 生活に突入してしまいます。

最初にいじった Linux は、Vine Linux 2.5 でした。Web 上で調べてみたら「日本語環境やドキュメントが充実している」という情報があり、何よりも、何種類か購入した「Linux 入門書」に付いていた付録のインストール CD を試したところ、Vine だけが戸惑うことなく素直にインストールできたので選択しました。(インストールしたのは、すでに我が家のパソコンとしては2台目の、Windows XP がプリインストールされたパソコンでした。つまり、いきなり NTFS パーティションを縮小して空き領域を作り、デュアルブート環境を作る…という作業を行ったことになります)

さて、Vine でちょっとずつ Linux の勉強を進めていた私でしたが、大学時代ドイツ文学を専攻していたこともあり、ドイツ発祥だという S.u.S.E. (当時はこの表記が一般的でした)というディストリビューションがあることを知り、なんとなく興味を抱くようになっていました。

とはいえ、当時はまだ Web で調べてみても S.u.S.E. に関する日本語情報はあまりヒットせず、また、その頃は無償バージョンをインストールする場合は FTP インストールしなければならなかったこともあってやや敷居が高く、Vine から乗り換えよう、とまでは考えられなかったのが実状です。

そんな折り、SuSE のバージョン 8.1 がリリースされた際、LiveEval という、いわゆる LiveCD が合わせて公開されました。そのころ、KNOPPIX という 1CD の Live ディストリビューションが注目されていたこともあり、「お試し」しやすいようにと作られたものだと思います。これだったらハードディスクにインストールしなくてもどんなテイストか見てみることができるな、と、早速私は飛びついてみました。

起動してみると、ちゃんと日本語は表示できるし、かねがね噂に聞いていた YaST というツールはよくできているし、非常に使い易くまとまっているディストリビューションだな、という印象。すでに立ち上がっていた日本語メーリングリストにも登録し、インプレッションを投稿してみたり。これが、私と SuSE との出会いでした。

それでも、まだすんなりと SuSE に移行できるほど当時は私の環境が整っていなかったのと、なによりまだまだスキル的に心許ないところがあり、本格的に SuSE をいじるには至っていなかったのですが、先に投稿したことそのことさえ忘れかけていた数ヶ月後、いきなりメーリングリストへ私の投稿に対するレスがポストされました。Mike さんというドイツ人、いわゆる「中の人」からのレスポンスです。

正直、びっくりしました。

Vine のメーリングリストなどでも時折鈴木代表などがポストしているのを見かけたことはありましたが、ほとんどがいわゆるアナウンスであって、個々の投稿にレスポンスすることはほとんどなかったと思います。それが、遠くドイツの、SuSE Linux 開発の現場の人からレスポンスもらえちゃうんですから。

私自身も最初はそうでしたが、Linux をはじめとする OSS を使うにあたり、「無料」に惹かれて使ってみようと思うケースは多いのではないかと思います。しかし、最近は特にそう感じるようになってきているのですが、OSS(あるいは、RMS 的に「フリー(自由な)ソフトウェア」としてもいいでしょう) の本当の魅力は「無料」にあるのではなく、「『こうだったらいいな』ということに対して能動的に働きかけることができる」ということにあると思うのです。

SUSE との出会いは、私にそのことを実感させてくれる大きなターニングポイントとなりました。