openSUSE 15.5 で試したのですが、GlusterFS の中の glusterd は peer との通信にデフォルトで IPv6 で通信しています。 /etc/hosts に IPv4 アドレスでホスト名を指定してもそこを見ません。
IPv4 で通信させるためには、 /etc/glusterfs/glsuterd.vol に

option transport.listen-backlog 1024

と言う行を追加する必要があります。

openSUSE.Asia Summit 2023 参加レポート

By Syuta Hashimoto @ 2023-11-05 15:46

10月21日(土)に開催されました、openSUSE.Asia Summit 2023に参加してきました。

openSUSE.Asia Summit は、アジア地域で毎年開催されているopenSUSEコミュニティのカンファレンスです。2014年の北京を皮切りに、コロナ禍で開催されない年やオンライン開催の年などがありましたが、今年で9回目を迎えました。2017年には日本でも開催されています。

今年は中国の重慶にある重庆邮电大学での開催となりました。1日間の開催でしたが、学生を中心に200人ほどが参加し、非常に楽しく有意義なカンファレンスとなりました。

移動

私は関東圏に住んでいるため、成田から出発し、上海の浦東で乗り換え、重慶を目指しました。浦東は地下鉄を使って入国審査の場所まで移動して、また地下鉄を使ってゲートまで戻る、という、距離のある乗り換えになりました。僕が先入観で浦東は乗り換えだけで入国審査は重慶でやる、と思い込んでいたので、浦東で少し慌てましたが、各種クリアし無事乗り換えられました。

重慶についてから、僕のスマホにインストールしたeSIMが何故かアクティベートされないというトラブルに見舞われましたが(どうやらスマホの問題だったようです)、なんとか事前におろしていたキャッシュでタクシーでホテルまで向かい、翌朝、同じホテルに泊まっていたインドネシアからの参加者Edwinと奇跡的にばったり会うことができて、無事合流、会場にたどり着くことができました。Edwinには日本開催、翌年の台湾、そしてドイツのグローバルカンファレンスの時とずっとお世話になりっぱなしです。ありがとう、Edwin。

カンファレンス

受付にて

大学はかなり広く、寮なのか、住居用の高層ビルが並ぶ区画があったり、敷地内を移動するミニバスのようなものがあったりしました。そんな中、生徒やローカルメンバーに道を聞いたりして、なんとか会場の建物へ到着。会場では、写真の看板のような全体的にスタイリッシュなデザインの案内が僕たちを迎えてくれました。

ローカルメンバーは学生が多く、当日で20〜30人はいましたでしょうか?皆興味関心が深く、また何かあるとすぐ駆けつけてくれあれこれと調整してくれたりと、とてもよく動いていました。

会場は百人以上は入りそうな大きめの講堂のようなメイン会場と、隣の5人がけぐらいの円テーブルが10個ぐらいはいっている小部屋2つのサブ会場で構成されていました。大きく、入門者用のスピーチなどはメイン会場、技術的なお話はサブ会場、といった割り振りでしたが、サブ会場の人気が高く、小さめの部屋ですがいつも満席に近いぐらい参加者がいて、熱心に話を聞いていました。

なお、openSUSE.Asia Summitは英語か現地語での発表、スライドは英語、となっており、今回は発表は英語か中国語となっていました。恥ずかしながら僕は中国語は全くわからないので、中国語の発表はスライドや発表者の表情で聴いていました。

僕は自分の発表がメイン会場だったこともあり、基本的にメイン会場で聴いていました。その中から幾つかのセッションを紹介したいと思います。

基調講演

openSUSEのboardメンバーPatrick氏から、Geeko Foundationについての説明がありました。Open Source活動についての寄付やスポンサーシップを管理する団体のようです。

Managing Indonesia openSUSE community Mirror Infrastructure

インドネシアからの参加者、Edwinの講演です。Edwinはインドネシアのユーザーグループで中心的役割を果たされています。今回は、openSUSE関連のミラーサイトをインドネシアで運用しているけれど、openSUSEがCDNを提供しだしたし、トラフィックがほとんど中国からだし、どうしていこうか?といった事を話されてました。

このセッションに限ったことではないのですが、僕の英語の聞く力が弱く、生徒たちとの質疑応答は内容を掴めなかったことが多かったので、リスニングをもっと磨かないとな、と感じました。

Running your home NextCloud AIO and ad-free browsing with Leap Micro

openSUSE Leapのリリースマネージャーである、Lubos氏のオンライン講演です。自宅のラズパイにMicro OS(openSUSEで開発しているイミュータブルOS)を入れて、NextCloudを運用してるぜ!といった話でした。

Using openSUSE in the Public Cloud

こちらはサブ会場での講演で、台湾から参加されたMaxの、クラウド利用について、それもAWS、Azure、GCPそれぞれの利用についてのお話と、そこでのopenSUSEを使う方法でした。

Maxはトークも上手で、参加されている学生さんたちとうまくコミュニケーションを取りながらとても楽しそうにセッションを作り上げていました。

なお、セッションは中国語で行われたため、残念ながら私は細かい内容は理解できずでした。

A journey to resolve the xdg-autostart-generator issue

僕と同じく日本から参加された、武山さんの講演です。自身取り組み、解決された(道筋の見えた)xdg-autostart-generator問題について話されていました(openSUSE Leap15.5をKDEで使うとibusが起動しない問題です)。PRしたsystemdの動作部分の説明など、だいぶテクニカルな所まで説明されていたので、興味深かったです。

The awesome LF Reports

不肖、私も発表させて頂きました。私は最近Linux Foundation のレポートの日本語版作成について、翻訳レビューなどのお手伝いをさせて頂いているのですが、そこでレポートを読んでいてすごい楽しかったのでいくつか紹介させて頂きました。CI/CDやMicroGrid、オープンソースのメンテナーに関するレポートなど、結構多岐に渡る内容でレポートを選びました。

これはカンファレンスの後に知ったことなのですが、今回の参加者、特に学生さんたちは、大きく分けて、ITやオープンソースに興味がある人、と、英語などの別言語に興味ある人、の二種類の方がいらっしゃったそうです。僕のセッションなどはどちらかというと英語に興味のある人が参加されたようで、内容がちょっとテクニカルな部分があったので、もっと本当に入門的に紹介しても良かったかな、と思っています。

Designing in the Open

インドから参加されたAnushka氏の講演です。彼女はデザイナーらしく、デザインという形でオープンソースに貢献したいけれども、デザインをコントリビュートする方法や方式が無く辛い、といった事を話されてました。コードやドキュメントのコントリビュートは手順化されていたり、フォーマットがあったり、と、ある程度協調作業がしやすい環境が整ってますが、デザインの方にはそれが無い、そして必要だ、ということです。

ALP and openSUSE – The Future of Leap.

openSUSEでEnlightenmentをメンテナンスしていたり、boardメンバーの時があったり、と、長年に渡りopenSUSEに貢献されているsimon氏の講演です。ALP(Adaptable Linux Platform イミュータブルなデスクトップ)の開発進捗具合について話がありました。openSUSEはALPをメインにする方向なので、僕も早いタイミングでALPを経験したいなと思っています。

Open Source is an option of life

openSUSE.Asia SummitのGlobal committeeであり、中心的な役割を演じている、中国から参加のSunnyの講演です。オープンソース活動を人生に取り入れる、組み入れることで、人生をより良くできる、より良いものに設計することができる、という講演でした。各スライド、中国語での説明のあと、概要を英語で話してくれました。

こういうお話によくある通り、質疑応答で、エビデンスはあるのか?みたいな質問が学生から(素直な疑問として)出たのですが、今回興味深かったのは、Sunnyが力強く意義について回答したのですが、その後、他の講演者が二名ほど熱くその学生(と参加者全員)に語り、拍手喝采になっていました。残念ながら中国語だったので内容はわからなかったのですが、オープンソースに対する熱い想いのようなものを肌で感じました。

なお、エビデンスうんぬんのあたりについては、Linux Foundationのレポートなんかはそのあたりの数値化、見える化、考察について書いてあったりするので、熱い想いを科学的に後押しできる日も近いのではないか(あるいはもう来てる)と考えています。

懇親会&1dayツアー

カンファレンスの後、懇親会で学生さん達とお話する機会を持たせて頂きました。その学生さんは日本語や日本文化への興味が高く、日本語を学んでいるところ、ということで少し話して頂きましたが、なるほど、好きなだけあって結構流暢に話されていました。アニメ文化が好き、ということだったのですが、逆に僕があまり詳しくなく、ちょっと申し訳ないなと思ってしまいました。アニメ文化が好きな方は多いので、少しづつでも情報入れていくのもいいですね。

翌日は世界遺産の大足石刻へ1dayツアーを組んでくださり、夕飯は磁器口という古き良き町並みを再現した所で重慶名物の火鍋を頂いたり、と、重慶を満喫させて頂きました。

この夕飯の時もなのですが、学生さんのITへの興味関心の強さが半端なく、将来こういうことしたい、とか、今こういう問題があって、とかいった話を熱心に話してくださいました。僕はスピーカーや実行委員として行くので、どちらかというと熱い思いを伝えるべき立場なのですが、逆に地元の若者たちに熱い思いを伝えてもらうカンファレンスとなりました。

帰国

翌日、一日自由に重慶を観光し、そしてまた上海経由で今度は羽田まで無事帰国しました。

重慶は思っていた10倍は大都市で、カンファレンスを通じて皆さん、特に学生さんたちの熱気を強く感じることが出ました。ローカルチームのリーダーhillwood、そしてローカルチームの皆さん、本当にありがとうございました。

重慶の夜景(の一部)

日本で二回目の開催もできたらいいですね。

来年の開催国はまだ未定ですが、皆さん、そこでお会いしましょう。

openSUSE.Asia Summit 2023 に行ってきた

By ftake @ 2023-11-05 13:39

10月25日、26日に中国の重慶で開催された openSUSE.Asia Summit 2023 に参加してきました。openSUSE.Asia Summit は2014年から、ほぼ毎年開催してきましたが、2020年は中止、2021年はオンライン、2022年はオンラインとサテライト開催(台北、ジャカルタ、東京)でしたので、会場に集まっての開催は実に4年ぶりとなります。

中国の重慶には、大学の学生を中心とした強い OSS コミュニティがあります。サービスを企画して運用するような大学のサークル活動もあるそうです。openSUSE.Asia Summit 開催は(記憶によると)2回目の挑戦で初開催です。会場は重庆邮电大学(重慶郵電大学、Chongqing University of Posts and Telecommunications)でした。会場には約200人が集まりました。

基調講演は openSUSE Board から Patrick が Geeko Foundation について発表しました。これまで、openSUSEには資金面での受け皿がなく、寄付等を受け取ることができませんでした。この問題を解決するために、資金団体を立ち上げる計画が進められていましたが、今年、設立に至りました。

こちらは、RISC-V アーキテクチャの CPU ボードシリーズ Milk-V のデモ。人気があって入手困難という話を小江戸らぐで聞いたことがありました。うまく動かなかったらしく、ワークショップ中になにやらデバッグ中の風景です。

インドネシアの Edwin は、ダウンロードを改善するためにインドネシアに設置したリポジトリのミラーサーバについて発表しました。月間20TBを捌いているのですが、皮肉なことにトラフィックの多くは中国からになってしまっているそうです。現在は openSUSE の公式リポジトリも CDN を使ってリポジトリへのアクセスを改善しようとしています。しかし、こちらは(費用面の問題からだと思いますが)小さなファイルの配布にのみ使用しており、引き続きこのミラーサーバーは必要になるとのことでした。

昼ご飯はみんなで大学の近くの食堂へ。

ローカルな食べ物をみんなで囲いました。ローカルの料理を選んでくれたのか、いくつか辛い料理がありました。麻婆豆腐は会社近くの中華料理屋の四川風麻婆豆腐のほうが辛かったです。

私の発表は午後最初の枠でした。ODC などでも話している xdg-autostart-generator の話です。Leap 15.5での解決は間に合わなかったものの、このタイトル。

集合写真

夜はボランティア、発表者とともに懇親会へ。ちょっと豪華な地元料理です。ボランティアは情報系の学生だけではなく、語学系の学生も多く駆り出されていました。この懇親会では、日本のアニメが好きという学生と一緒にご飯を食べました。

カンファレンスツアー

今年のカンファレンスツアーは重慶の中心部から2時間ほど離れた、大足石刻を見に行きました。地獄の図、天国の図、千手観音とどれもスケールの大きい仏像ですが、なんと、どれも崖の岩を直接掘って作られています。

こちらは地獄の図

こちらは天国の図

この千手観音も崖を掘って作られています。

晩御飯は重慶名物の火鍋!磁器口とよばれる古い町並みを再現した観光地の外れにひっそりと佇む、隠れ家的な火鍋レストランでの夕食でした。

辛い方は一番辛くない設定にしてあったそうですが、辛かったです。具材はほとんどホルモンでした。癖の強いものは辛い方に入れないと美味しく食べられないそうです。

重慶ってどんな場所?

場所と地形

重慶は中国のほぼ中央の内陸部にある都市です。2023年10月時点では、COVID-19 以降の制限が解除されきっておらず、日本からの直行便は大阪からに限られており、北京や上海を経由して8時間程度で行くことができます。


大きな地図を表示

街の中心部は長江と嘉陵江という大きな合流地点にあります。大きな川沿いなので、広大な平地かというとそうではなく、高い丘や山に囲まれた谷になっています。このような場所に、3千万もの人が住んでいるということで、山沿いに高層ビル、タワマンが並ぶ姿は写真では伝わらない凄さです。

当然ですが、川沿いから内陸側に徒歩で行こうものなら、ものすごい階段を登る必要があります。エスカレーターやエレベーターはありません。

買い物、食べ物

町中にはいたるところにコンビニがあります。よく見かけるのはローソンとセブンイレブンです。日本や北京に比べると、かなり店舗は小さめですが、食料品を中心に馴染みのあるものが並んでいます。

朝ご飯はホテルと同じ建物にある飲食店を使いました。カウンター席4席のワンタンと小麺(ラーメン)屋では 100 g のワンタンスープが約220円で、これで十分お腹いっぱいになります。

観光地だとちょっと高いです。麻婆茄子丼は約500円でした。

困るのが注文です。簡単な英語も伝わりません。写真つきのメニューがあって、指差しができれば良いのですが、それもない場合は困ります。メニューはなんとなく何かは漢字から想像が付きます。あるお店では、何が聞かれているのか分からなかったところ、「熱」「冷」のように書いてくれました(漢字が読めることがよく分かったな)。もちろん Google 翻訳も役立ちます。

ちなみに、支払いは基本 QR コード決済です。現金も当然使えますが、お釣りがなくて困ることがあるようです。今年から Alipay に日本のクレジットカードが登録できるようになったので、気軽に使えました。カードのせいか、最初の1回だけうまく決済できず焦りましたが、カードを変えて以降は大丈夫でした。

パンダ

本場とあって、重慶動物園にはたくさんのパンダがいます。そして大人気。動き回っている子のまわりには、人だかりができていました。ほとんどの子は昼前にも関わらず、気持ち良さそうにぐっすり。ちょっと酔っ払いみたいです。

夜景

川沿いはライトアップされ、夜景がきれいです。観光船も運行しています。

ロープウェイにも乗ってみました(写真なし)。橋が開通して、地下鉄が通るようになるまでは移動手段として使われていたそうですが、今はすっかり観光用です。

ホテルの近くには、洪崖洞とよばれる、崖沿いにホテルやレストランなどが集まった商業施設があります。これまた豪華なライトアップで、多くの観光客が押し寄せていました。

交通

市の中心部は地下鉄やモノレールが張り巡らされており、近距離であれば、1回40円程度で移動できます。もちろん支払いは Alipay です。Alipay で発行できる公共交通機関専用の QR コードを使って乗降できます。

歴史はとても浅く、このあとに紹介するモノレールの2号線の開業が最も古く2005年、路線のほとんどは2010年代になってからの開業で、どれも設備が新しいです。

中でも有名なのが、この李子坝 (Liziba) 駅。マンションの中を線路が貫いています。観光スポットになっており、駅前では多くの人がカメラを構えていました。

来年の開催は?

開催地の公募はこれからですが、早速、インドネシアチームが手を挙げています。少しでも興味のある方は、ぜひなんらかの発表を用意して参加してみてください。