10月17と18日に初のアジア地域でのopenSUSE Summit が北京航空航天大学で開催されました。 46-P1050093

顔を合わせることが重要

openSUSEの開発は世界中からの多くの人が関わっているため、主なコミュニケーション手段は、メールやオンラインシステムを通して行われます。openSUSE.Asia Summit の重要な目的の1つは、普段オンラインでしか交流の無い人と実際に会うことです。実際に、会場入りすると、次々と挨拶が始まります。まずはopenSUSE.Asia Summitの準備を一緒にしてきた運営メンバー、そして日本語入力まわりを協力してパッケージングしているHillwood(中国人)と出会いました。

実際に会うことで初めて「どのような人か」分かることは多く、今後のオンラインコミュニケーションにも役立つのではないかと思います。 Asia Summitの発起人で、台湾のコミュニティメンバーのsakanaは「イベントの規模や、話す言葉は重要ではない。会う機会を作ることが重要」といっていました。実際に、今回もほとんどのセッションが中国語でした。

openSUSEの今後の方向性

基調講演では、openSUSE Board長のRichard BrownとSUSEのエンジニアリング副社長であるRalf FlaxaがともにopenSUSEとSLESの今後の役割についてふれました。13.2のリリースと同時に、ローリングリリースのTumbleweedがFactoryのスナップショットベースとなり、より最新のフルパッケージがディストリビューションとして提供されます。13.2に向けて整備してきた自動テストフレームワークopenQAがこれを可能にしました。

一方、エンタープライズ向けのSLESと、新しさを求めるopenSUSEの間にはギャップがあります。このギャップを埋めるアイデアとして、バージョン番号付きのopenSUSEのリリースサイクルを見直すこと、長期サポートをするEvergreenプロジェクトが紹介されました。

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主な講演

Max Linは13.2以降のリリースの鍵となる、openQAとStagingプロジェクトの紹介を行いました(2セッション)。この2つの役割を簡単に説明すると、パッケージメンテナーによって更新されたパッケージは Factory に取り込む前に、まずはStagingプロジェクトに送られ、Staging プロジェクトのパッケージとFactoryの他のパッケージを合わせた状態でテストが行われます。このテストに使われるフレームワークがopenQAです。OSを仮想マシンで起動し、アプリケーションの起動・キーの入力などから構成されるテストケースを自動で実行します。openQAはGUIのテストにも対応しており、画面上に表示されている文字列が期待したものと同じかを判定することもできます。

その他には、Gary Linによるセキュアブートが有効な環境下でopenSUSEを動かす仕組みの解説もありました。現在のセキュアブートの環境では、Microsoftの鍵で署名されたブートローダーしか起動できませんが、署名されたプリローダーのShimを通してShimの鍵で署名されたGRUBを起動できます。また、マシン所有者のカスタムブートローダーやカーネルはmachine owner keyという鍵を用いて署名し、セキュアに起動できることが紹介されました。ブートローダーやカーネルの署名はOBSを通して簡単に行うこともできます。

台湾・日本・インド・北京のopenSUSEコミュニティの活動についての紹介も行いました。(日本は筆者が担当)インドコミュニティでは頻繁にパーティを開くようで、これがコミュニティを盛り上げる秘訣だと言っていたのが印象的でした。 私の発表スライド「A closer look at fonts and font rendering system on openSUSE」のスライドはこちらです。Notoフォントの話や、fontconfig、ヒンティングについて話しました:

ワークショップ

会場で実際に手を動かすワークショップもいくつか開催されました。OBSワークショップでは学生ボランティアのメンバーが初めてのパッケージングに挑戦していました。

昼食は吉野家! (#matsuyanow ならず)

北京の町中にはセブンイレブンを始めとする日本でお馴染みのお店がちょくちょく見られますが、吉野家もそのうちの1つです。Summitの昼食は2日とも吉野家でした。とても人気があるようで、お昼の大混雑の中、参加者全員でお店に押しかけました(残念ながら、OSC界隈で人気のある松屋は見当たりません)。お店の雰囲気は日本のハンバーガーチェーン店に似ています。牛丼・豚丼・鶏丼・きのこ丼と一緒にコーラを頼むのが定番だそうです。

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ライトニングトーク

OSCでお馴染みの、最後のLT大会にしてみました。時間を拡大して当日申し込みを可能にしてみました。中でも面白かった発表は、Justin Wongによるgdanmakuの紹介です。gdanmakuはニコニコ動画のようなコメントを、スクリーン上に表示するアプリケーションで、LT会場からブラウザ経由でコメントを投稿していました。

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その他、食べ物など

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次回以降は?

2日間を通して、アニメが好きだとか、今度日本に行くけど、どこに行くべきか、次回は秋葉原で開催して欲しいといった話題が上がっていました。次回は台湾になりそうですが、より多くの人が日本から参加してもらえれば…と思います。(写真は主にボランティアのみなさん)

volunteers at openSUSE.Asia Summit 2014