米国に次いで日本国内でも7月16日から「コミュニティ・パテント・レビュー」が試行されているのをご存知ですか?

先行する米国では、米特許商標局が、IBM、Open Source Development Labs(OSDL)、オープンソースソフト(OSS)コミュニティー、学術界とともにイニシアチブを立ち上げ、下記の3つの取り組みを行っています。

  • Peer to Patent (旧名称:Open Patent Review)
  • Open Source Software as Prior Art
  • Patent Quality Index
(ITmediaで取り上げられたニュース記事: 「米特許商標局、OSSコミュニティーとともに特許改善を目指す」2006年1月11日)

日本で試行が始まった「コミュニティ・パテント・レビュー」は、米国の「Peer to Patent」に倣ったもので、企業や大学等の研究者・技術者等からなるコミュニティのレビュアーが、インターネット上で、先行技術の提示や特許性についての評価等の特許出願に対するレビューを行い、その結果、有益な先行技術を、特許審査の際の参考資料として特許庁審査官に提示するシステムです。

現在、情報分野等における技術知識を有する研究者、技術者又は知的財産担当者等を対象にレビュアーの募集が行われています。ご興味のある方は下記URLにアクセスして、レビュアーとして登録されてみてはいかがでしょうか?

Community Patent Review: http://www.cprtrial-iip.org/

レビュアーの役割って?

特許出願されたもののうち、期間内(出願から3年以内)に出願審査の請求があったものについては、特許庁審査官による審査を経て特許査定となった後、設定登録(特許料納付)が行われたものについて特許権が発生します。

(特許庁ホームページ:「特許権を取るための手続」

「コミュニティ・パテント・レビュー」におけるレビュアーの役割は、「特許庁審査官による審査」に関してレビュアーの有する技術的知識を提供することです。

具体的な例で考えてみましょう。

  1. あるソフトウェア企業から特許出願された技術が、あるオープンソースソフトウェアにおいて既に実装されている技術(=先行技術)であった
  2. その出願を審査する特許庁審査官がそのオープンソースソフトウェアに関する情報を知らない、もしくは、その情報を入手できなかった
  3. その特許出願された技術が、特許査定され特許権を得る

という様に、特許出願された技術に対する先行技術があるため、実際には無効な(新規性又は進歩性がない)特許が発生してしまうことがあります。
こういったケースにおいて、レビュアーが「その特許出願された技術は、既に○○というオープンソースで実装されていますよ。」という知識を提供することで、無効な(新規性又は進歩性がない)特許が発生してしまうことを未然に防止することができます。

「コミュニティ・パテント・レビュー」に関してご関心のある方へ

「コミュニティ・パテント・レビュー」には関心があるけど、「仕組みがよくわからない」、「特許明細書を読むのは難しい」という方がいらっしゃいましたら、弁理士さんのご協力を得てセミナーを開催することもできます。セミナー開催を希望される方は、本記事にコメントしてください。